池上英子


社会学者


  • HOME
  • 新刊 江戸とアバター
  • 主要著作
  • メディア・寄稿
  • contact
  • Travel Blog

  • English website

your MIND CAN TRAVEL around more worlds than your body can
まず、仮想と現実をあたかも2つの正反対の世界と考えことをちょっとやめてみてほしい。人間は古代から仮想の翼のおかげで、
自己の肉体を超えた世界を旅してきたのだ。仮想は現実の一部であり、もっとも芳醇な現実世界の一部は仮想の力でなりたっている。



文明を創ってきたのは仮想の力だった。

その仮想の力の現代版、デジタルの仮想空間で, アバターとして
私は自閉症の人々と、そのハイパーワールドな脳内世界と出会った。


ハイパーワールド もっと読む、まえがき




























一般に自閉症の人々は、他の人々と交流したり共感し合ったりするのを苦手とすると言われている。しかし

仮想の世界では自閉症アバターはお互いに悲しみや喜びを共感しあい、悩みを語りあい支え合っていた。私はこうした仮想空間での自助グループの会合に100回以上出席し、またさまざまな自閉症アバターたちにお話をうかがった。


仮想空間での自閉症当事者のアバターたちの語りは、私にとっては一つひとつ不思議の国の扉を開けるような驚きに満ちた経験であ​り、その度に自分がいかに固定的な視点から世界を見ていたかを思い知らされた。



自閉症スペクトラムは深い謎だ。



仮想空間にたたずむ著者池上のアバター






そしてその謎は、人間の脳の不思議にダイレクトにつながっている。彼らは自分とは違うある特殊な障害を持った人たちだ、として、その深い謎を私たちに提示してれる人たちのことを知ろうとしないでいるのは、あまりにも​「もったいない」と私は感じた。










仮想空間を通じて出会った自閉症当事者の人々は驚きに満ちたハイパーワールドの深みのの淵へと私を案内してくれた。もっとも私はその脳内世界の深い淵のそばにただ佇んでいただけだったけれど、自分としてはずいぶん遠いところまで来てしまったという感覚がある。









朝日新聞グローブ 20174月6日


read more



.


Home 戻る